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【インタビュー後編】
水から油 活用の可能性無限大の膜ろ過技術を社会に
「凝集膜ろ過」というのは、ものすごく簡単に言えば、膜でゴミを取ることです。水を綺麗にするためには、水だけが膜を通るようにしないといけない。そのためには、ゴミを薬剤でまとめて “塊にする” 必要があるわけです。「凝集膜ろ過」は、1990年代から注目されはじめた水処理方法で、まだまだ新しい技術です。だから原理・ルールが解明されていない。どのような原理で制御すれば最適な効果が出るかに関する方法論もまだ確立していないんです。
オルガノ賞をいただけたのは、従来よりも細かいところまで見たからじゃないかなと思います。わたしは凝集膜ろ過における “粒子” に着目しました。もし膜の表面がマイナスで、凝集されたものの粒子がプラスだとすると、吸着してしまう。すると水を通すための圧力をかけるために、電気コストもかかるし、膜も詰まりやすくなってしまう。このように膜やその周辺の電子がどのような状況にあるのかは、水処理においてはすごく重要なんです。この点、わたしが膜について研究し始めた当初、目視できるレベルの粒子に関する研究しかされてこなくて。もっと細かいものに関しては理論がなかった。そこではわたしは、今まで研究されてこなかった0.1マイクロメートル( 1/1000 ミリメートル)レベルの世界を考察することにしたんです。ある中小企業に依頼して、観察するための機器も作ってもらいました。