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財団概要
設立趣意書
近年、激しく進歩する社会の進展の対処して教育の重要性があらためて唱えられていますが、戦後我が国経済の目覚しい復興の陰にあつて、今なお家庭の経済的理由から、不幸にして高等教育を受けられない者も我々の周囲に数多く見受けられます。
本財団発起人の一員である西原脩三氏もその終世の事業として、営々辛苦のうえ築いてきた環境衛生、設備設計事業を通じ、有望闊達な青年の力がいかに社会の発展向上に寄与するところ大なるかを痛感しておりましたところ、能力をもちながらも経済的事情によつて進学を妨げられている者の今なお多いことを見聞し、同氏自身も幼少時、家庭の事情から充分学業に親しめなかつた往時を回想して、最後の事業としてこれら不幸なる有為青年のために一燈を灯したい旨の意思表示が同氏からたびたびなされていました。
その後、同志の人達と語らいながら、この意思の具体化につき考えてまいりましたが、この程、同氏より私財を提供したき旨申し出がありましたのを機会に、これを基金として育英奨学の制度を設けると共に、更に同氏が、昭和35年より在日東南アジア留学生と日本学生との交歓、研修の場として提供してまいりました施設も同時にこの事業に提供するとの申し出がありましたので、これも併せて前述趣旨に従い運用するべく企画いたしました。
この事業の運営にあたつては同氏の黄綬、紺綬褒章授章の栄誉とも考えあわせ、西原脩三氏の崇高なる理念の達成と、その篤志を永遠に盤石たらしめるために、知友同志の者と相謀り、ここに財団法人 西原育英文化事業団を設立せしめることとした次第であります。
*この設立趣意書は1966年、当団設立当初に策定されたのものです。
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