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人と自然の向き合い方を考える

第2回 岡山県・西粟倉村 開催!サマーキャンプ2023

2023年8月18日 (金)〜20日(日)西原育英文化事業団奨学生とOBGの交流を目的とした西原サマーキャンプ2023を開催しました。開催場所は昨年に引き続き岡山県・西粟倉村です。(この「にしあわくらそん」という地名を初めて聞いた方、ご安心ください。どのような村なのか、なぜ場所をここにしたのか、後ほど詳しくご説明いたします。)

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写真(上):

2日目若杉天然林をハイキング中の集合写真。

西原サマーキャンプの目的は、西原育英文化事業団(以下、財団)の奨学生同士をつなぎ、奨学生のネットワークを広げることです。現役の学生から社会人何十年目のOBGまで、幅広い世代の人々が一堂に会します。年齢のみならず、性別、出身地、出身国、職業のどれをとっても様々なメンバーが集まります。

 

メンバーに唯一共通するのは「環境分野への関心」。普段自分がどんな研究をしているか、どんな仕事をしているかを語りあい、悩みを相談したり、今後の進路について一緒に考えたりします。

 

また、2023年の参加者の特徴はなんといってもグローバル。12名中5名が留学生や海外出身者で構成される国際色豊かなメンバー構成でした(移動車内の公用語が時々北京語でした)。

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写真(上):

2日目の夜の様子。北大出身のメンバーが今年は多かったので、北大生に人気のメニュー、ジンギスカンにしました。食欲をそそるお肉の香りがあたりに立ち込めました。

 本レポートでは、今回のサマーキャンプで参加者がどのようなことをしたのか、大まかなスケジュールと内容をご紹介します。今年来られなかった方も、このレポートを読んで将来の参加を是非ご検討いただけたら嬉しいです。

写真(上):
集合写真の大原駅。昼下がりの駅前で「初めまして」「お久しぶりです」と挨拶を交わしながら色とりどりのスーツケースをひく人だかりができました。ここから参加者が3台の車に分乗し、鳥取県の方面へ北上しました。  

初日は8月18日(金)。集合場所は、兵庫県から鳥取県にかけ中国地方を南北に通る智頭(ちづ)急行の大原駅。 智頭(ちづ)とは古くは道俣(みちまた)と呼ばれた場所です。道が二つに別れるところを意味します。『日本後紀』の大同3年(808年)6月に「因幡国智頭郡道俣の駅馬二匹を省く」という記述があります。その後、上方街道と備前街道が分岐する要衝となり、参勤交代の道筋、藩主の宿泊地として栄えました。あまりにも繁盛したため1844年には小売商人の逗留が禁止されたというエピソードも残っています。

写真(上):

「智頭宿」と呼ばれる場所で撮影。宿場町時代の面影の残る家並みが保存されています。

2023年のコンセプトは…

最先端の循環型社会づくりを学ぶ、環境フィールドワーク

 

 

回のサマーキャンプ、もちろん例年と同じく奨学生とOBGの交流も目的ではありますが、それだけではありません。会場を岡山県・西粟倉村にするからこそできる数々の企画を実現いたしました。

 

実は西粟倉村、「脱炭素先行地域」に認定される地域であり、2030 年度までに、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴う CO2 排出の実質ゼロを目指して様々な取り組みが行われています。そこで、環境問題への研究を支援する財団らしく循環型社会の実現に向けた先進的事例を目で見て、手に触れながら学ぶための企画を盛り込みました。いわば、循環型社会づくりを学ぶ、フィールドワークです。

 

1日目には、まずは西粟倉村に隣接した鳥取県智頭町にあるパン屋、タルマーリーを訪問しました。

https://www.talmary.com/about-us
 

このパン屋の創業者が哲学を綴った著書は日本全国で読まれ、海外に翻訳本も出されています。

 

その哲学とは・・・?人工的に培養された菌を使わないこと、昔ながらの方法で培養した菌を用いることにこだわりを持ったパンづくりをされています。どうしてそのような方法にこだわるようになったのかという点については、ぜひ著書を参照いただけますと幸いです。

https://www.amazon.co.jp/dp/4909394516/ref=cm_sw_r_awdo_navT_a_9P8RQ94050RRCNPAY4XF

西原育英文化事業団の基盤を築いた西原脩三氏が、生前に繰り返し唱えた「自然から得たものは自然に返す」という理念と、通ずるものがありますね。

〜西原脩三氏についてはこちら〜

https://www.nishihara-neo.co.jp/wneop/wp-content/uploads/2021/10/2e0333920ec6c1388fc2888cd807f723.pdf

写真(上):タルマーリーのカフェスペース。

ほぼ森。だからこそ、できること。

 

さて、西粟倉村がどのようなところなのかをもう少しご説明します。人口は1400人。東京で言えばタワーマンション一棟分にも相当するほどのわずかな人数です。9割以上が森林という点も特徴です。そこで、2日目は午前中から西粟倉村の森に踏み入りました。去年は雨でしたが、今年は晴天に恵まれました。

 

若杉原生林へ行き、中腹までハイキングしました。

写真(上2枚):

ハイキング中に撮影した若杉天然林の様子。地元のガイドさんによれば、「もののけ姫」に登場する製鉄所はこの近辺が元になっています。

午後は西粟倉村在住のガイドのもと、「百年の森林構想」のレクチャーを受けながら現地の森を見学しました。

 

〜百年の森林構想とは〜

西粟倉村公式ホームページでの詳細は下記よりご覧いただけます。

https://www.vill.nishiawakura.okayama.jp/wp/%E7%99%BE%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%A3%AE%E6%9E%97%E6%A7%8B%E6%83%B3/

 

「百年の森林構想」は、2008 年に着想されました。当時から数えて50 年前に“子や孫のために” と植林された人工林が、財産価値を失ったまま放置されていました。そこで村が指揮をとり、この人工林を整備する方針を打ち立てます。これが50年後を見据えて森林整備をおこない「百年の森林に囲まれた上質な田舎」を作るという村のコンセプトの原点です。

写真(上):

整備された西粟倉村の森林。地元のガイドさんに、間伐がされていない森とされた森のちょうど境界に踏み入りながら、森をご案内いただきました。写真に写るのは間伐された森。日光が地表まで届いた状態であることが目視でよくわかります。

森林整備の重要なキーワードのひとつに「間伐」という仕事があります。樹木が成長して森林が混みあってくると、日光が地表まで届かなくなり、植物の成長を妨げてしまいます。そこで、森林を健全な状態に保つために、混み具合に応じて樹木を間引きすることが必要です。こうすることで、残した木の成長を促すことができます。

 

では、間引かれた木材(間伐材)はどうするのか。捨てるのではなく、これらも資源として活用します。

 

西粟倉村では、民間企業と連携して木材(間伐材を含む)の利用が進んでいます。

株式会社 エーゼログループ 西粟倉森の学校はその一つです。レストランやカフェ等も運営しており、ハイキングの後のランチに財団一行は向かいました。

写真(上):

森の学校の入り口にて。

〜西粟倉・森の学校とは〜

https://morinogakko.jp/base101/

写真(上):2日目のランチ。メニューには鹿、鹿、鹿… 鹿の文字が至る所に並びます。令和5年9月の農林水産省の統計によれば、日本では平成12年から令和5年にかけて、シカの捕獲頭数の増加傾向が続いています。シカを含む野生鳥獣による農作物の被害を防止するための捕獲が進められるとともに、捕獲した鳥獣の地域資源(ジビエ等食糧)としての活用も進められています。

放置される木材を活用し、豊かな森林へ

 

 

西粟倉村は、「百年の森林構想」を掲げ、これまで市場に流通すること無く山林に放置されていた未利用材の利活用を進め、材料として使えない未利用材は、温泉の加温、施設の暖房、電気のエネルギーとして利用されています。西粟倉村の取組みは、OBGが実際に関わっているだけでなく、研究課題として調査したことがあるOBGがおり、財団も遠からず関係があると言えます。

 

そこで、今回のサマーキャンプでは木材を活用している施設にも足を運びました。

1日目は、「温泉を沸かすエネルギー」に未利用材が活用される施設に、2日目のハイキングの帰り道には、公共施設の暖房や電気を供給する「木質チップボイラー・発電施設」に立ち寄り、村のエネルギー循環の全体像を解説いただきました。

また、サマーキャンプに参加したOBGの要望で、村内にある小水力発電施設にも立ち寄りました。

写真(上):

温泉に設置されている薪ボイラー。標準よりも大きな(長い)木材を入れることができる点がこの設備の特徴と言います。

写真(上):

西粟倉村の地域熱供給システム事業を説明する、西原育英文化事業団OB奨学生の河野さん(一番左)。環境分野のコンサルタントであり、西粟倉村では村を「まるごと実証フィールドとして、地域の課題・願いを企業や研究機関と連携し、解決策を模索する」一般財団法人西粟倉村むらまるごと研究所の共同代表理事を務めています。

〜西粟倉むらまるごと研究所とは〜

http://muramaru.tech/

年中「サマーキャンプ」

いつでもオンラインでつながる場を

西粟倉村における循環型社会づくりを、自然・経済・エネルギー等の様々な観点から見ることができた今回のサマーキャンプ。出身もバックグラウンドも様々な参加者らが、自然とふれあい、環境と社会のあり方について学ぶ3日間を過ごしました。

 

3日目の帰り際。最後に代表理事より1つ告知がされました。

 

サマーキャンプのように、同じ時に、同じ場所で、同じ体験をすることを通じて築かれる絆もありますが、600名を超えるOBGを含め、奨学生全員が対面で一堂に会する場を設けることは困難です。そこで、オンラインで、財団関係者繋がりたい人が繋がりたい時に、アクセスできる新たなメディアを作れたら奨学生のネットワーク構築のサポートになるのではないか。そんなアイデアから、現在財団では新たなメディアづくりが進行しています。具体的な概要の案内は今年度中にします。ぜひお楽しみに。

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