
Summer Camp2025 in 鎌倉・腰越

西原育英文化事業団(以下、NCF)恒例のSummerCamp2025を8月21日(木)~24日(日)の3泊4日で開催し、各地から現役奨学生10名、OBOG6名が集まりました。さらにオンラインとのハイブリッドで行った報告会には現役奨学生3名、OBOG3名のオンライン参加者が加わりました。この8月に採用が決まったばかりの第20回西原・環境奨学金奨学生も2名、早速現地でのフル日程でご参加頂きました。昨年に続き神奈川県鎌倉市腰越にて2回目の開催でした。
漁港のある海辺のまち、腰越はゆったりとした空気が流れ夕方には海から抜ける風が心地良く、道を歩けばお住まいの方同士が道端で声をかけ合っている姿が印象的です。Summer Camp期間中に行われていたお祭りでは、古くからお住まいの方と若い移住者の方が結束して盛り上がる姿も見られて魅力的でした。この温かな雰囲気、移住者が多いのも頷けます。江ノ電が唯一路面電車となる区間でもあり、訪れた私たちにとっては非日常感もありますが、よそからの来訪者なのになぜか落ち着いてしまう穏やかな空気をまとった素敵なまちです。

今年も複数のゲストハウスを利用した分宿での開催となりましたが、メイン会場となったのは昨年もお世話になった「FOLK Koshigoe」。建築設計事務所、株式会社NECCO様が運営する築100年を迎える古民家ゲストハウスです。丁寧に手を入れられた家屋の居心地の良い大広間では畳でごろりと昼寝を楽しむ参加者も。魚さばきワークショップの会場にもなったのは漁師のオーナー佐藤さんが運営するゲストハウス「Trawl」。こちらは築70年の古民家をフルリノベーションされ、梁組が見られる和室が1部屋に海をモチーフにした壁紙で彩られたカプセルタイプの部屋が7部屋。
食事や報告会を参加者全員が集まっても余裕のある広さのFOLKで行い、宿泊はそれぞれのゲストハウスに分散という形で行いました。

SummerCamp2025の大まかなスケジュールは以下の通り。初日は集合後に簡単な自己紹介を済ませ早速参加者が自分たちで夕食準備。(メニューは地物の干物、鎌倉野菜の蒸し野菜等。この日のメインはTrawlオーナー佐藤さん謹製、自ら獲って生から炊き上げた豪華なたこ飯!)夕食後に近況/研究報告会①、終了後は懇親会。2日目は朝から魚釣り、午後は魚さばきワークショップ、その他観光、休息など各自自由行動。夜は自分たちでさばいた魚を使って様々な魚料理三昧 。そしてまた報告会②、またまた恒例の懇親会。3日目は午前中から夕方までじっくり時間を取って報告会③の後、海岸への散歩やお祭りのお囃子見物をはさんで夜は地元の海鮮料理屋へ。この日の夕食後はようやく報告会ではなくオンライン参加者を含めて完全フリートーク。最終日は最後の魚料理の朝食を取った後、参加者の感想をシェアしてFOLKを出発し腰越駅前でランチを取って解散、という流れでした。
多様な参加者による近況/研究報告会
今年も参加者の自己紹介、自身の研究の専門分野や仕事内容を報告する近況/研究報告会をメイン企画の一つとして行いました。これは奨学生/OBOGがどのような研究や仕事をしていらっしゃるのか互いに知ってもらいたいという意図で昨年から本格的に始めたものです。
参加者が自身の専門を深く、かつ専門外の参加者にも分かりやすくプレゼンテーションを行いましたが、昨年以上に報告に力を入れている様子で開始前に資料を見直す姿が多く見受けられたり、「朝早く起きてスライドを修正しました!」と言った声も聞かれたりしました(事前のご案内でプレッシャーを与えていたら申し訳ありません)。
あくまで互いに知って頂くことが目的です、と言うスタンスだった事務局ですが、資料準備にも時間をかけ熱を入れての完成度の高いご報告が多く感心しきりでした。奨学生の報告に刺激を受け、OBOGの中には当初の予定よりさらに深い内容のご報告をされた参加者も。Summer Camp参加者の共有ドライブには報告後に昨年より多くの方が資料をアップロードして下さり、他の参加者の研究内容を知ることやご自身の研究について伝えることに非常に意欲の高い参加者が多いことを改めて感じました。
質問やコメントの時間も充実しており、専門が異なるとは言え同じ「環境」をテーマにしているという共通点から鋭い質問やコメントが相次ぎました。同じ分野の研究者からは実験手法の詳細に対する質問が、他分野が専門のOBOGからは研究自体が持続可能かどうか、この研究の背景にはどのような問題意識があるのか、等といった質問がありました。
専門分野が違うからこその質問や研究者と民間で働く実務者との目線の違いは、通常同じ研究分野の研究者同士でのプレゼンが多い現役奨学生のみなさんの刺激になったようでした。研究者、実務者等、多様な立場の方々が集まることにより、質問やコメントもさまざまな角度からもらうことができるのはNCFのSummer Campならではだと感じます。
熱意のこもったプレゼンが続き集中した時間の合間には、参加者が持ち寄って下さった各地のお土産のお菓子やフルーツ、差し入れのアイスで和むひと時もありました。
報告会とは雰囲気が変わり、オンラインフリートークではそれぞれの近況や秋からの海外留学を控えた新採用の奨学生へ現在留学中の現役奨学生よりアドバイス、医療関係の仕事をしているOBへのオンライン医療相談(?)、懐かしい過去のSummer Campの写真共有などなど。トピックは真面目な話題からローカルネタまでと次々に変わりながら、日付を越えるまで盛り上がりました。
腰越ならではのアクティビティ
夏の腰越では研究内容の話ばかりでなく、もちろん海辺のまちでの開催ということでアクティビティに期待を寄せていた参加者も多くいらっしゃいました。昨年は残念ながら体験できなかった漁体験ですが今年はTrawl佐藤さんのご厚意で船での魚釣りをさせて頂けることに。この貴重な機会に希望者多数でしたが漁船に乗れるのは限定5名、という事で初日夜にじゃんけんで公平に参加者が決まりました(じゃんけん前にお譲りくださった方々、多謝!)。
2日目の朝、早起きして6時前に腰越漁港に集合。さて釣果は⁉詳細は参加者レポートに譲ります。
見事カサゴとシイラを釣り上げた参加者はこの日夕食前に帰らなければならず大変お気の毒でしたが、他の参加者が唐揚げに調理し、おいしく頂きました(次回はぜひ釣果を召し上がるところまでご参加ください)。
魚を捌く(内臓を取り除き、身を三枚(片身二枚と中骨)に下ろす)ワークショップは昨年に続いて二度目の開催ですが、今回は早朝の海釣り組による釣果捌き組と、仕入れた魚捌き組の二組で実施しました。海釣り組は、レポートの通り釣果自体は微妙なものでしたが、網にかかったヒラメが圧巻。3.5キロほどの大物。一同協議の上(じゃんけん?)、担当者を決めたそうですが、「(重くて)裏返すだけでもかなり大変」だったとか。奮闘すること60分(ぐらいだったと思う)。見事、五枚(ヒラメは五枚おろしがセオリーだそうです)に下ろせました。
仕入れ魚組では、基本となるアジの三枚おろしをまず見学。それを頭に入れて各自スタート。佐藤さんが適宜アドバイスしてくれます。圧巻は、小田原沖定置網に当日朝かかったカツオ。カツオは、血の処理がポイントとのことでしたが、確かにまな板はスゴイ状態でした。また硬いウロコや鋭利なトゲにも苦労させられたそうですが、なんとかおろし切りました。みなで、中骨に残った身を削ぎ、その場でいただきます(いわゆる中落ち)。絶品!これは、ワークショップ参加者ならではの特権ですね。白身魚のヒラメやタイは、熟成させることで旨みが増しますが、カツオはとにかく鮮度!なのだそうです。
みなさんのご協力により、海釣り組、仕入れ魚組ともに怪我もなく無事ワークショップを終えることができました。ありがとうございました。
釣りの後は船酔いでダウン気味の参加者もいれば、早起きや船釣りでの疲れをものともせず、午後は海水浴や温泉と海辺のまちでの夏をとことん堪能した参加者も。心ゆくまで昼寝を楽しんだり夕方には海辺に散歩に出かけたりとそれぞれのペースで過ごしました。今年も腰越ならではのアクティビティが充実し、楽しむことができました。

さて、魚釣り、魚さばきワークショップの日の夕食は参加者が積極的に料理をして数々の豪華な魚料理が食卓に並びました。メニューはヒラメ・カツオ・アジの刺身、アジのなめろう、ひらめのムニエル、カサゴの唐揚げなどなど。魚さばきワークショップで三枚おろしにしたアジも昨年よりもかなりきれいにおろされ、なめろう用にたたくのがもったいない程でした。「なめろう」なんて初めて聞きました!という中国出身の留学生が頑張ってくれました。頂いたしらすの沖漬けや、近所の豆腐店の冷奴、鎌倉野菜の煮物や蒸し野菜等も数品添えられ、いざ乾杯!
ヒラメの刺身はこの日網にかかったものと佐藤さんが三日前からご用意して下さったものとの豪華食べ比べ。売れ行きを見ると数日熟成した方が断然おいしいことがわかりました。

全員がそれぞれに料理やお皿洗い等手分けして手際良く行い、夕食後の報告会もオンライン参加者をお待たせすることなく予定時間通りに始めることができ、感謝です。
外食では地元名産のしらすを始めとした海鮮料理や、昼食にはタコス、ラーメン、点心、蕎麦、焼肉などをそれぞれに好きなものを楽しみました。最終日は朝食に最後の魚料理、佐藤さんがご提供下さった珍しいうつぼの干物までを楽しみ尽くした後、ゆったりとしたFOLKの雰囲気に名残を惜しみつつ参加者お一人ずつに感想を話してもらい、腰越駅前でランチを取って解散となりました。例年通り、NCFのSummer Campらしく食事の充実した4日間でした。
Summer Campが積み上げてきたもの
それぞれに研究でお忙しいところ、ここ数年は年々現役奨学生のご参加率が高くなっています。Summer Campをネットワークづくりの場として捉えて頂けているようです。研究の都合上、 初日に一泊して翌朝帰るという参加者もいらっしゃいましたが、短い時間の滞在になってしまっても参加して下さり嬉しい限りです。たとえ少しの時間のご参加であってもNCFの現役奨学生、OBOGが対面で集える場を提供することで持ち帰るものがあるよう企画を練っていくつもりです(が、来年はできればぜひごゆっくりとご参加ください!)。
せっかく日常の研究や仕事の場を離れた4日間なので、普段よりゆったりとした時間の過ごし方をしてもらいたい、腰越ならでは海辺ならではのアクティビティも楽しんでもらいたい、オンライン参加者にも同じ温度で参加してもらいたい、NCFでのネットワークも築いて頂ければ…となんだか欲張りな企画になってしまいましたが、参加者のお声を伺うとそれでも楽しんで頂けたようでした。
協力し合っての食事準備やワークショップを通じ、また古民家ならではの空気感も手伝ってか早い段階から初対面の参加者同士も打ち解け合うことができたようで、他の参加者と積極的に関わろうとするコミュニケーション意欲の高さも感じる4日間でした。
SummerCamp2025では大変ありがたいことにOBOGの自分より下の世代や現役奨学生へ還元をしていきたい、という思いも多く感じることができました。もちろんこれまでもSummer Campの場で、あるいはこの場での出会いが発展したNCFコミュニティでOBOGによる研究や進路、キャリア選択へのアドバイス等はありました。ですが今回はこれまで以上にそうして還元を受けてきた参加者たちが、研究者や実務者としてのキャリアや培ってきたものを下の世代へ何らかの形で手渡したいという思いを感じる場面が多かったように思います。
従前の奨学金制度(普通奨学金・特別奨学金)だった1984年に開催の原点を持つSummer Campですが、西原・環境奨学金が第20回を迎えた今年、これまでのOBOGのその思いも醸成されてきたように感じました。来年もまた、回を重ねてさらに熟成されたものになっていくことでしょう。SummerCamp2026には今年ご参加できなかった方もぜひ、ご参加お待ちしております!




















