
Summer Camp 2022
今年も西原育 英文化事業団は奨学生同士の交流を目的としたSummerCamp2022を開催しました。期間は2022年8月19日
(金)~21日(日)の三日間です。西原育英文化事業団のSummerCampといえば、これまでは長野県軽井沢のいするの家(西原脩三記念館)で開催してきました。しかし、多くの思い出を育んできたこの施設ですが、一昨年惜しまれながら閉館。
さて、今年はどこで開催しよう?
と、悩む代表理事・西原に救いの手を差し伸べたのが西原育英文化事業団OB河野さん(東北大学大学院修了)。かねてより環境分野のコンサルタントとしてご活躍で、「脱炭素先行地域」選定の岡山県英田郡西粟倉村で「村をまるごとフィールドとして 最新テクノロジーを用いた研究・実証事業が行われる環境を築き、未来につなぐ」事業に従事。現在共同代表理事として一般財団法人西粟倉むらまるごと研究所の企業連携を担当しているのです。そこで、環境分野の研究、教育、企業等活動に関心の高い奨学生・OBGと共に、今回その事業の 現場を覗いてみようということになり、西粟倉むらまるごと研究所の拠点・西粟倉村を訪ねることになりました。
岡山県の東北端に位置する人口約1,400人の村です。一体どんなところなのでしょう?
1日目・8月19日(金)
1日目は午後1時にJR姫路駅に集合。中央改札口前にひとり、またひとりと参加者が現れます。参加者が揃うと車2台に分乗し、いざ西粟倉村へ。
参加者は次の方々です。

(後列一番左)かなり古〜い財団奨学生OB(岡山大学、大阪大学大学院)の轟さん。普段は地区交通計画、都市計画 ( 土地利用) が専門のコンサルタントです。今回は途中参加でしたが、途中で立ち寄った観光スポットの写真と土産話で皆を楽しませてくださいました。
(後列左から二番目)前述の河野さん。西粟倉村をご案内いただきありがとうございました。
(後列左から三番目)こちらもかなり古い奨学生O B (東京工大大学院博士課程)の西村さん。現在は、芝浦工業大学建築学部建築学科教授。(インタビュー記事はこちら↓)
https://www.nishihara-cf.org/naoyanishimura
(後列左から四番目)昨年はオンラインに初参加いただいた現役奨学生(東京大学大学院博士課程)の上原さん。今回は東京から現地参加です。普段は水環境工学を研究されています。
(後列左から五番目)李さんは今年初参加の現役奨学生。中国の重慶出身で、現在は九州大学大学院博士課程に在学中です。
(前列左から一番目)奨学生OG(呉高専、東北大大学院修士課程)。今年から社会人となり、化学メーカーの研究職として働く大室さん。春から始まった新しい環境、充実した日々について楽しそうに語ってくれました。
(前列左から二番目)西原の奨学金がまだ環境に特化していなかった頃の奨学生OG(多摩美術大学大学院博士課程)。SummerCampのレギュラーメンバーであり、お馴染みのムードメーカー、朴さん。初参加で緊張気味の現役奨学生にも、気さくに話しかけてくれました。
(前列左から四番目)Labiraさんは今年初参加の現役奨学生(九州大学大学院修士課程)。インドネシア出身。李さんと同じ研究室に在学中です。温泉も、鹿肉も、生まれて初めての経験とのこと。
(前列左から四番目)続いてこちらは奨学生OB(呉高専、長岡技科大大学院)で、SummerCampではレギュラーメンバーの惣中さん。今回、安定の優しい笑顔で車の運転を引き受けてくださりました。ありがとうございました。
西粟倉村への道中、明日の朝食用パンを買いに『タルマーリー』というお店へ。保育園を改装した店舗の庭には、滑り台などの遊具がそのまま残されています。

(写真はタルマーリ入口。左手の庭には保育園の遊具あり)
タルマーリーは2008年、渡邉格・麻里子夫婦が共同経営で開業。自家製酵母と国産小麦だけで発酵させるパンづくりを始めました。2011年の東日本大震災と福島第一原発事故の後、渡邉夫妻はより良い水を求め岡山県に移転し、天然麹菌の自家採取に成功。そして、「パンを作れば作るほど、地域社会と環境が良くなっていく」事業を目標に、ロール製粉機を導入し、地元産の小麦を自家製粉してパンや焼き菓子の材料に使い始めました。内装には木材がふんだんに使われ、木目に囲まれた温かい空間に焼きたてのパンが並びます。
タルマーリーの後は(鳥取県八頭郡)智頭町総合案内所へ。
地元の材木・素材を用いた工芸品等を、見て買って楽しみます。

総合案内所を後にすると次は温泉へ。河原の森に囲まれたお湯に浸かり旅の疲れを癒した後は、あわくら温泉元湯の個室で夜ごはんです。
(あわくら温泉元湯入口。数メートル前には塩谷川が流れます。あわくら温泉元湯のローストビーフならぬ、ローストディア。初めて鹿肉を食べた参加者もいました。)
国推奨の“ジビエ” 農地の課題と密接な関連
夜のメインディッシュは鹿のジビエです(フランス語で、狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉や料理のこと)。ところで、このジビエ、いま国をあげて “推奨” されているのをご存知でしたか?
農林水産省農村振興局 鳥獣対策・農村環境課 鳥獣対策室が令和4年9月に発表した「捕獲鳥獣のジビエ利用を巡る最近の状況」によれば、野生鳥獣による農作物被害額は161億円(令和2年度)。また七割はシカ、イノシシ、サルが占めているそうです。
農村地域で深刻な野生鳥獣の被害を防止するために、積極的に捕獲を推進し、さらに捕獲後の埋却・焼却処理の負担をなくしていくことが必要です。そこで、野生鳥獣を地域資源として捉え、野生鳥獣 “肉”(ジビエ)として有効に活用する前向きな取組が広がっています。
ジビエの利用量は平成28年から30年に1.5倍に増加(1,283tから1,887tへ)しましたが、今後さらに倍増させることが目標として掲げられています。
お酒のラインナップも西粟倉ならでは。西粟倉村で収穫されたお米で甘みを引き出し、発酵過程でヒノキのチップを浸し香を抽出したヒノキビールがみんなの注目を集めました。
奨学生OGの大室さんはイチゴビールをチョイス。ラベルのデザインがたまりません。
最後の「締め」はバター醤油ご飯。
2日目・8月20日(土)
朝。毎年早起きするのは同じ顔ぶれです。
朝食は8時ごろから(起きた人から)ぼちぼち。

(朝食は木製のドアを再利用したリビングテーブルで。パン、スコーンに彩りのトマトが並びます)














