top of page

ナノメートル単位の「見えない世界」を探求する 室内空気質研究の世界

西村直也さん

芝浦工業大学建築学部建築学科 教授

※所属、肩書はインタビュー当時(2019年)のものです。

ナノメートル単位の「見えない世界」を探求する 室内空気質研究の世界

「他人がやろうとしていたら止めていたと思います」研究者になる道を選んだ決断をこのように振り返るのは、第31回西原特別奨学金奨学生(環境工学、衛生工学、設備工学等の専攻専門をもつ学生を対象とした奨学金。現行の西原・環境奨学金の前身)の西村直也教授(芝浦工業大学建築学部建築学科)。

 

建物内部の空気質を専門とする西村教授は、東京工業大学工学部建築学科・東京工業大学大学院総合理工学研究科をご卒業された後に、一度大手民間企業へ就職。その後改めて研究者というキャリアを選ばれました。

 

そんな西村教授に、現在の研究内容・それを選ばれた理由、そして一度民間企業で働かれた経験が、現在の研究にどのように影響しているのかなどを尋ねながら、これまでのキャリアを振り返っていただきました。



ーーー現在どのような研究をされているのでしょうか。


建物の中の「空気質(IndoorAirQuality)」に関する研究を行なっています。わかりやすく言えば、室内の空気の良し悪し。これを専用の測定器で測定するようなイメージです。


ーーーそれはホコリとかの数をはかるような感じでしょうか?


平たくいえばそうですね。専門の言葉では「浮遊粒子状物資」と言います。いわゆるチリ・ホコリなどの中でもだいぶサイズの小さいものです。それを測定するためには「パーティクルカウンター」と呼ばれる専用の機器を用います。僕が専門とするのは10ナノメートルほどの大きさの物質。これは1mの1000分の1の、そのまた1000分の1の1000分の1のサイズです。こう言った物質を認識し、空気中でどのように動くのかをシミュレーションしたりします。

 

ちなみにチリやホコリって、部屋の中にどれくらいあると思いますか?例えば10立方センチメートルの空間あたりに。


ーーー20-30個くらいでしょうか?


およそ 10万個です。

 

映画館とかで映写機から出た光の中で、埃がキラキラと光っているところ見たことありませんか?あれはチンダール現象と呼ばれる現象で、空気中の物質が光を散乱させるために起きることで。僕たちが空気中の物質を測定するときは、その「光の数」をもとに数えています。