産・官・学・⺠をつなぐ 環境施策の実務家として 「持続可能な脱炭素社会」をプロデュース
株式会社エックス都市研究所 主任研究員
河野有吾さん
※所属、肩書はインタビュー当時(2020年)のものです。
2019 年スウェーデンの環境保護活動家グレ タ・トゥーンベリさんによる国連で のスピーチが世界各地のメディアで報じられ、若い世代を中⼼としたグローバ ルデモを引き起こしたことは多くの⽅にとって記憶に新しいことでしょう。 このような昨今の環境問題への意識の⾼まりに⼤きく先⾏し、1971 年の創設以 来 45 年以上にわたり「持続可能な脱炭素社会」のデザイン・プロデュースを⼿ 掛けてきた専⾨家集団・株式会社エックス都市研究所。 今回の OBG インタビューでは、同社で主任研究員を務める第 36 回奨学⽣・河 野有吾さんに、⼤学時代から今に⾄るまでのライフヒストリーから現在のお仕事、ご趣味などについて伺いました。
ーーー⼤学のときは何を勉強していましたか?
東北⼤学の⼯学部で、衛⽣⼯学を専攻していました。
もともと⼤学に⼊るときには建築を学びたいと考えていました。ところが、⼤学 2年⽣の時に「建築か⼟⽊か」を選ぶ際に、建築の学部説明を聞いていて”建築 って、芸術だな”と思うようになったんです。⼤学で学ぶものというより、セン スが求められるものだと。それで建築のコースに⾏くのはやめて、⼟⽊のコース を進むことにしました。 それから⼤学4年⽣になると各研究室に配属されます。⼟⽊のコースを選んだ 後の⾃分は”環境”に関⼼を持つようになっていたので、⼟⽊の中でも衛⽣⼯学を 選びました。
ーーー「”環境”に関⼼を持つようになっていた」とは、具体的には?
レイチェル・カーソンの「沈黙の春」を読んだことがきっかけです。 環境関連の研究室がいくつかあり、もう退官されましたが、野池達也教授の研 究室に⼊りました。衛⽣⼯学は、⼈の営みと環境がリンクする分野だと思った ことがきっかけになります。また、ちょうど野池教授が⽂部科学省のプロジェ クトに参画していた時期でしたので、当時はメタン発酵を阻害させて⽔素だけ をできるだけ取り出す、というような研究なんかにも携わっていました。
ーーー修⼠課程までは進学されていますが、博⼠課程に⾏こうとは思われなかったんでしょうか?
7割くらいは進学しようと思っていましたよ。でも当時の指導教官だった野池教授がもうすぐ退官されるタイミングだったので、ドクターに進学し たとしても野池教授のもとでは研究できなくなる、というのが気になって。それ で進学はせずに就職しました。
ーーー就職先をエックス都市研究所にしたのはどうしてですか?
まず、就職するなら研究はしたくなかったんです。だからメーカーの 研究所という選択肢もありえた中で、コンサルティング会社を選びました。コン サルティングにも⾊々ある中で、エックス都市研究所を選んだのには、所属して いた研究室の OB の⽅とのお話が影響していると思います。 裁量労働制で、割と⾃由な働き⽅ができるというお話を伺ったんです。それから スーツを着なくていいと⾔われたのも魅⼒的でしたね。あとは⾯接官の⽅が⾯ 接後に、「ぜひそのまま(後の⾯接も)受けてほしい」と熱⼼に誘ってくださっ たことも、今の会社を選んだ理由として挙げられると思います。
ーーー今はどんな仕事をされていますか?
エックス都市研究所の仕事には⼤きく分けて3つあります。
1つは 国、主に環境省などに対するコンサルティング。これが7割ほどを占めていま す。2つ⽬は地⽅⾃治体に対するコンサルティング。そして3つ⽬に⺠間企業に対するコンサルティングがあって、私は主に3つ⽬を担当しています。
1つ⽬の仕事、国に対するコンサルティングは、国(例えば環境省などの官庁) が将来実施したいと考えている計画がある時に、「なぜそれをするのか」「どのよ うに⾏うことが⼀番有効か」をリサーチする仕事。国の計画の策定に携わりま す。
2つ⽬の地⽅⾃治体に対するコンサルティングは、例えば国が新しく法律を制 定・計画を策定した時に、地⽅⾃治体もそれを受けて個別に計画を⽴てることが 求められます。この計画策定のお⼿伝いをします。 また、この他にも「⾃分たちの⾃治体でしかできない独⾃のことをしたい」と考えている地⽅⾃治体の⽅に対して、そのビジョンを具現化するためのプロジェ クトのお⼿伝いをしたりします。
3つ⽬の⺠間企業へのコンサルティングでは、⺠間企業の技術開発・新規事業の サポートなどを⾏います。⺠間企業が技術開発や新しいビジネスをはじめる時、 国の補助を活⽤したい、地⽅⾃治体と提携して具体的に導⼊したいと⾔ったニ ーズが⽣まれることがあります。この時に私たちが間に⼊って、連携できるよう にサポートをしたりします。私はいま、特に⺠間企業の低炭素・温暖化対策に関 連する技術開発の⽀援・事業展開の⽀援などに携わっています。
ーーーありがとうございます。最後に、趣味とか、純粋に好きなこととかがあれ ば教えてください。
うーん…。基本的に収集癖があるので、あまり⼿を出さないようにはしているものはありますね。特定のアーティストの CD とか、特定の作家の単⾏本とかは⼀つ買ったらつい全部集めたくなってしまう性格です。あとは⼈と会って話すことは好きですね。だからこのインタビューも楽しいですし。仕事先でいろんなお客さんと会って話すのも楽しい。そういう意味でも今の仕事を選んでよかったなと思っていますよ。