2011年3月11日に発生した大地震とそれに伴う大津波は、まさに文字通りの未曾有の大災害となってしまいました。この大災害において、我々は何をすべきか?この問いは、地震、津波の発生直後からずっと引っかかっているものです。そんな中、発生から一ヶ月半ほど経った4月24日、当団OBの一人である伊藤隆東北大准教授を訪ねる機会を得え、震災時の体験談、そして伊藤氏の専門分野を通して見える、311以後のこの国のあり様などについてお話をうかがうことができました。「我々は何をなすべきか?」という問いかけについての直接の答えでは、決してありませんが、その答え、「解」を得るための一つの手がかりにはなるのではないか、と考え「OB/OGの声」第二回、拡大版として掲載させていただくことにいたしました。
「とにかく情報が入ってこない」
―――事務局(以下G):地震のときは仙台市内のホテルにいらっしゃったとか。
伊藤(以下I):はい。講演会がありまして、ホテルの宴会場にいたんです。僕は宮城沖地震も経験してますし、仙台っていうところは割と「地震慣れ」のあるところなんですが、それでも今回の揺れは、これはちょっと違うぞ、まずいぞと思いましたね。シャンデリアがなんかもバラバラ降ってきちゃったりして、怖かったですよ。
ーーーG:私はちょうど東京の事務所、これが10階なんですが、にいまして、確かに今まで経験したことがないような揺れでしたねぇ。それでも震度5弱です。それに電気も水道もダウンしなかったですし。
I:仙台の場合、完全に停電になりましたんで、とにかく何がどうなってるのかという情報が入らずこまりました。友人から電話がきて「仙台空港が水の中にあるよ」って、そんなことあるのかって思ったんですが、とにかく映像がないんでイメージがわかないんです。しかし、そんな風に断片的に情報が入りだしたら、もう夜でしたね。
ーーーG:私も東京で職場から帰れなくて事務所に泊まったんですが、電気が止まらなかったんで情報は入ってきました。いや、今回はテレビの力はすごいなぁと思いましたね。 震災の中心が東北だというのもすぐわかりましたし、その後津波の情報も映像がどんどん入ってきました。これには、もう、ビビりまくりましたが。
I:いや、僕が津波の映像をはじめて見たのは、YouTubeでだったんですが、電気が通ってからだから、四日後とかそれくらいたってからなか。いや、こんなことになってたんだ…ともうほんとにびっくりしました。それまではTVなんかも見ることができなかったんです。