丸山奈緒子さん

外資系 環境コンサルタント会社勤務

かけがえのない経験への後押しと、先輩奨学生の素晴らしいネットワークが得られると思います。

 
 
 
事務局(以下、事):自己紹介をお願いします。
丸山さん(以下、丸):丸山奈緒子です。西原・環境奨学金のOGです。東京農工大学農学部を卒業後、千葉県庁で用排水路等の農業施設を整備する仕事をしておりました。在庁期間の最後の2年間は休職の機会をいただき、エール大学森林環境学スクールで修士号を取得しました。帰国後は環境関連の仕事をしています。最初は第三者認証機関で温室効果ガスの検証やCSR報告書の審査を行いました。現在は環境コンサルト会社で環境関連の調査、監査を行っております。
事:奨学金を受けられていたのはいつ頃ですか?
丸:2007年の西原・環境奨学金第一回に応募をしました。
事:留学先について教えてください。
丸:エール大学森林環境学スクールで環境マネジメントを専攻しました。環境のゼネラリストを育成するコースなので、広くいろいろな分野の授業が必須科目になっていました。大学、大学院があるのは、アメリカの東海岸、コネチカット州にあるニューへイブンという町にあります。ニューヨークとボストンの間に位置している学生の町、というかほとんど「エール大学の町」です。大学構内は趣のある建物が多く、とてもきれいですが、実は治安があまりよくありません。
事:留学生活では何がいちばん大変(キツい、タフ)でしたか? 
丸:1年目に受講した米国の環境法律の授業はとても印象深いです。私がエール大学に入学するきっかけになった恩師の授業でした。教授が2年目はサバティカルリーブ(大学教員に与えられる長期有給休暇)に入るため、英語に不慣れな1年目にどうしても受講取得せざるを得なかったのですが、環境法と裁判の専門用語と独特の言い回しに苦労しました。しかも、週に数100ページ(!)を超える読み物があり、授業で教授は資料も黒板も使用せずひたすら話すのみです。最初は授業の理解もままならないのに、単位の評価は2回の試験だけ、それも膨大の法律を暗記し、長文の解答を書くものだったので、ものすごいプレッシャーでした。名物授業の1つだったのですが、授業の内容はもちろん、教授をうならせたいと授業中繰り出される学生たちの挑戦的な質問。さらにすごかったのは、それを見事にさばいてゆく先生。こうしたやりとりを、当事者として体感できたこともこの授業の醍醐味の一つでしたねぇ。私はやり取りについていくのに精一杯だったので、なんだか他人事みたいですが(笑)。
 
事:逆に、一番楽しかったのは? 
丸:森林環境学スクールは生徒の数が1学年100数十名で、多様性を重んじる学長の方針で30%程度が留学生でした。いろいろな国の友人と行うポットラック(1品持ち寄り)パーティはいろいろ国のお料理を食べられ、楽しみのひとつでした。え?私は何をもっていったかですか?お好み焼きやカレーを作ってもっていきました。特にお好み焼きは評判良かったですよ。

また、大学院では必修のインターンや授業のプロジェクトで海外に行く機会あり、貴重が経験となりました。私は、1年と2年の間の夏休み、ロンドンにあるCarbon Disclosure Projectという機関で1ヶ月半インターンを行いました。また、バイオ燃料のライフサイクルアセスメントのプロジェクトでインドに、産業連関表のプロジェクトでプエルトリコに、それぞれ1週間程度行き、政府機関、大学の教授等へのインタビューを実施ました。海外での調査の経験は、学生がインタビューの設定から現地での移動アレンジを行うこともあるのですが、帰国後の仕事でも大変役に立っています。
事:専攻、専門、また修論について、簡単に教えてください。
丸:専攻は環境マネジメント学です。企業の環境に関する取組みに興味があったので、産業環境管理の関する授業を中心に受講し、修論もその分野の先生に指導をいただきました。修論では途上国における電気事業の発電効率の変遷を調査とその原因の分析を行いました。また、世界でも最もよい発電効率を適用した場合の温室効果ガス排出量削減量を算出しました。

森林環境学スクールには環境科学修士という専攻もあります。こちら研究者を育成するコースで、必修の授業が少ない分、修論は必須です。私は環境マネジメントというゼネラリストを育成するコースを専攻していましたので、修論の作成は必須ではありませんでした。しかし、博士課程の先輩と共著で論文を書き、幸運なことに論文がEnergy Policyという専門誌に掲載された!
 
事:現在のお仕事の内容について教えてください。お差し支えのない範囲で具体的に。
丸:現在は外資系の環境コンサルタント会社に勤務しており、政府、民間企業の環境関連の業務を行っています。具体的には、国内外の環境法令の調査、企業の環境に対する取組みの調査等です。二国間オフセットクレジットの実行可能性調査や海外で温室効果ガスの検証方法について研修も行っています。他にも、工場の環境法の遵守の審査や融資・保険申請時の環境影響評価書の審査業務と業務は多岐に渡っています。

海外関係のプロジェクトも多く、メールのやり取り、レポートの作成、出張先での打ち合わせ等、英語を使用する機会も多いです。
事:話は変わりますが、僕(事務局)は丸山さんを猫友達の一人と認定してるんですが… 猫、お好きですよね。
丸:はい、わたしが9歳の時から我が家には猫にいまして、もう人生に欠かせない存在だと思っています。実は、最初に家にいた2匹の猫たちが病気で亡くなったのも留学を考えたひとつのきっかけでした。病気の猫たちを家に置いて、泣く泣く出勤をするのですが、それが非常につらくて。そのとき改めて本当に心の底から好きな仕事に就いたいと思い、環境についてもう一度、勉強するための留学を考え始めました。う〜ん、なんか上手くいえないですけど…
事:いや、何となく分かるような気もします。
さて、話は戻りますが、西原育英文化事業団、西原・環境奨学金についての印象は?なんか漠然とした質問で申し訳ないですが。
丸:すごくアットホームで非常に学生に親身になっていただけるという印象があります。私は面接の際にはすでに渡米していたんですが、国際電話での面接で対応していただき、非常に有難かったです。
事:いや、あの電話面接は、事務方としてもものすごく緊張しました(笑)。
さて、後輩の奨学生、あるいは西原・環境奨学金への応募を考えている方に何かメッセージがあれば。
丸:大学や留学先の国によりますが、海外留学は一般的に非常に費用がかかります。すべての費用を用意してから留学をしようとするとベストの時期を逃してしまう可能でもあり、私の留学先でも多くの学生が奨学金を利用し、自ら学費、生活費を工面していました。私自身も自費留学でしたが、奨学金には非常に助けられました。
この分野での、留学や大学院をお考えでしたら、西原・環境奨学金もその選択肢に入れてください。
かけがえのない経験への後押しと先輩奨学生、事務局の方々とのすばらしいネットワークが得られると思います。
事:ありがとうございました。
丸:いえいえ、どういたしまして。
大学院の卒業式での写真。森林環境学スクールは帽子に葉っぱ等で飾り付けするのが伝統です。(私は右から3番目です。)